ご両親とお兄様・妹様ご家族(Y様)との二世帯住宅の計画です。
何と!将来の相続を踏まえて土地も建物も2軒分に分割しても、将来の間取、構造、建築法規的に問題がないように計画されています。(実はこのように将来分離したいというご希望は時々あるのです。)
家を設計したenne建築設計事務所の髙橋氏が設計で大事にしていることは、『住み手のライフスタイルと敷地・環境条件を生態学的に考え、デザイン・環境・暮らしの相互作用を総合的に検証しながら設計する』こと。
Y様の家づくりのご要望の中に、※パッシブデザイン にも関心があるということでしたので、高橋氏をご紹介しました。
(※エアコンなどの機械をできるだけ使わず、建物の構造や材料などの工夫によって、熱や空気の流れを制御し、快適な室内環境をつくり出す手法)
【配置図】(将来の土地・建物の分割ラインを赤い一点鎖線で表記)
現在は1棟の建物である二世帯住宅ですが、将来、敷地は「赤い一点鎖線」の部分で「2つの敷地延長の土地(旗竿地)」に分割できるようになっています。建物も両家の中央の部分(平屋になっている玄関・中庭テラス・浴室)を解体し、2棟に分割するという構想です。
【子世帯】
ダイニングキッチンのシンク部分はコンクリート打放し。みんなのダイニングテーブルは木製です。壁側にIHとキッチンの作業スペースがあり、階段下の木製のカウンターは家事コーナーです。階段のデザインがとても目を引きますね。
リビングダイニングはコンパクトながら、とても気持よく落ち着いた雰囲気です。
《建て主さまから》
エアコンが苦手だったので、なるべくエアコンに頼らずに暮らせる住まいをお願いしました。最初は半信半疑だったのですが、暮らしてみると猛暑においても2階のエアコンを28℃に設定して一台つけるだけで、家全体がひんやりとし快適に過ごすことが出来て驚いています。
天気の良い日には、中庭・縁側の窓を開けます。まるで屋外にいるような開放感があり、コロナ禍では遠出をする代わりに、オーニングの下でバーベキューを何度も楽しみました。
中庭を隔てて暮らす両親の気配を感じつつ、子供たちが自由に行き来している姿を見ることが出来て、この二世帯住宅にとても満足しています。
将来、家族の形が変わって2分割が必要になった場合にも、高橋さんに相談させていただきたいと思っています。
●所在地:東京都足立区 ●敷地面積:261.78㎡ ●建築面積:138.61㎡ ●延床面積:245.43㎡ ●家族構成:親世帯(夫婦、長男)、娘さん世帯(夫婦、子3人) ●竣工年月:2018年5月 ●設計:建築家 髙橋博朗(合同会社enne建築設計事務所/写真提供) ●施工:株式会社 伊藤工務店 ●住まいづくりコンサルタント:村松葉子(文)