住宅密集地にありながら、自然を感じることができる家を希望されたKさま。建築家は、あじさいに彩られたデッキテラスや、ダイニングのコーナー窓、ハイサイドライト(高窓)などを設けて、どこにいても陽の光が感じられる設計で答えました。
担当したOZONE住まいづくりコンサルタントが、家づくりの過程をご紹介します。
Q 建て主K様は、どんな方ですか?
大学で教鞭をとっているご夫婦です。当初、二年後のご夫婦そろっての海外留学を予定しており、その為の拠点として日本での住まいを持ちたいと考えていらっしゃいました。
設計が始まったころお子様が誕生することがわかり、ご夫婦の家づくりに対するご要望も少し変化があったようにも思えます。
ご夫婦での会話とお茶の時間を大切にしていらっしゃる建て主です。
Q K様は、家づくりに対してどのような要望をお持ちでしたか?
共働きご夫婦なので、やはり「片付けのしやすい家」です。ご職業柄、本や書類の量が多く、家で仕事をする機会も多いので、そのための空間も必要です。
また「地域に馴染む外観、適度な緑で地域に溶け込む家にしたい」というご要望もありました。
Q 「建築家」との家づくりを希望されたのはなぜですか?
間口が狭く、それほど広い土地でもないので通風、採光に工夫が必要です。何よりも「ご自分達の暮らしに馴染むことをトータルに織り込んだ住宅」を希望しており、一から相談にのっていただきながら、住まいづくりをしたいと、希望していらっしゃいました。
Q 建築家3人による、間取り提案コンペはどんな様子でしたか?
限られた敷地に対し三者三様の提案がありました。駐車場やLDKの配置も、あえて建て主のご要望を通り超えた案に、驚きもありました。快適な暮らしに実現するための工夫は、それぞれの建築家の提案に見られました。
Q K様は「一度建てたら、環境負荷を減らすために50年は持つ躯体」を希望されていました。それは、家づくりにどのように反映されましたか?
ご自分達でも長く住めるよう、「メンテナンスは手抜きせずやりたい」という覚悟を持っていらっしやる建て主だからこそ発せられるご希望です。
建築家には基本的な住宅性能は維持しつつ、その上で要望を叶えてもらいました。特に暑い夏でも快適に過ごせる断熱性であるとか、風通しがよく湿気がたまらない部屋である等です。
Q 共働きのKさまは「家づくり計画書」で「家事が苦手」と公言されていました。それは家づくりにどのような影響を与えましたか?
お二人とも「家事は苦手で辛うじてこなしている」とおっしゃっており、二人で役割分担を決めて、助け合って進めていらっしゃるご様子でした。ただ効率は良くしたいので、「掃除のしやすい空間づくり」、「便利な家電は使う方向」で考えました。苦手なことはきちんと伝えるというのも、設計する上では大切です。
Q この家づくりで一番の核になった部分は、どこですか?
吹抜けのある、明るい2階リビングダイニングキッチンです。ここが拠点となり、家の中全ての様子が把握できます。なだらかにつながった書斎への行き来も便利で、家事も仕事も子育ても効率良く進められます。
そして、家の中に居ながら、中庭や周囲の緑も見ることができ、和みます。
Q 実際に建ったお宅を訪問して、どんなところが良かったですか?
密集した住宅街ですが、家に入ると開放感と明るさが迫ってきます。それは階段を通して2階吹抜けからの光であったり、玄関脇にしつらえた中庭からの光が注いでいるからです。奥様からは「どの窓からもすぐに緑を見ることができて、そこが気に入っています」と教えていただきました。また設えた家具や小物にも、K様のセンスが感じられます。何よりもこの家と共に育っていくお子様達の元気なご様子に、心が和みました。
Q建築家の関本さんは、どんな住宅が得意な建築家ですか?
建て主は「自分達の職業生活を含む暮らし全体に対する目配りをしていただきつつ、建築家としての見地を示していただきました」とおっしゃっております。建築家のオープンハウスや竣工物件も見学に行き、信頼関係も築いておりました。どんな住宅が得意というよりは、建て主のご要望に寄り添った家づくりを進めていく努力をされていたと思います。
余談ですが・・・
竣工後に建築家の関本さんやスタッフと、お食事にお招きいただきました。家事はしっかり分担というのがご夫婦の考え方で、ご主人もまめに働いていらっしゃいました。関本さんは自作の出来栄えと、建て主の感謝が本当に嬉しかったようで、お酒が進んでいるようでした!
(2018.3.13記)