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店舗付きのモダンな二世帯住宅

人気の商業地から少し奥まった、マンションが立ち並ぶエリア。ご計画は、オーナー邸の他にテナントなどもある「複合ビル」でした。

既に2社のハウスメーカーからPCパネル壁式構造、現場打コンクリート造の提案を受けたものの、「自分たちにとってどんな依頼先が適切なのか?建築家や工務店の場合は、どこに声をかけたら良いのか」と思われ、ご相談にいらっしゃいました。

W350WEBkaidan8311d_trm020.jpg場所柄としては建築家にお洒落で自由度が高い設計をしてもらうことも十分に考えられるエリアです。しかし、ハウスメーカーと比較したい建て主さまのことを考え、工務店であれば少しリーズナブルな工事金額の提示が期待できるかも知れないとも考えましたので、建築家と工務店の両者をご紹介することにしました。


複合用途の鉄筋コンクリート造(RC造)で、オーナー邸付きの共同住宅・店舗の設計経験がある、建築家3組と工務店1社を候補として挙げました。


その後、建て主さまと直接会って、相性や設計の進め方、建物の企画を提案してもらい、実績豊富な建築家の西島正樹氏と進めることになりました。


W350WEBkaidan8310d_trm019_s10.jpg【建て主さまからのご要望】
♦自宅+αとする
+αの部分は、設計中にご家族間で状況をご検討していただきながら、4度ほど変わることに。最終的には、店舗併用の二世帯住宅という結論に至りました。


♦容積率いっぱいに建てたい
道路斜線・高度地区斜線・最高高さの制限があり法規的に厳しい条件の中で、西島氏からは『複数の面積の緩和措置を最大限に上手く組み合わせる』ご提案がありました。
① 道路斜線を天空率で緩和 
② 地階やロフトで利用できる面積緩和を最大限に利用
③ 屋上への階段は、高さから除外できる塔屋扱いに

※塔屋扱いの屋上への階段を、LDKの吹抜けに位置させたことで、空間的な広がりと屋上からの明るい光が注ぐ効果が生まれています!

♦リビングダイニングについて
なるべく広く、天井は高く、大きな明るい窓が欲しい。

♦温熱環境
エアコンの気流が苦手なので気流を感じさせない冷暖房。
夏|天井輻射冷房設備(天井面の中に冷水が流れるチューブを埋め込み上から部屋を冷やす仕組み)
冬|床暖房(ガス給湯式床暖房を採用)  ※予備としてエアコンあり

上記の条件を全て実現させるには、建物の断面が複雑な形状になってきます。そこで外壁とエレベーターのコンクリートシャフト部分のみで建物を支える構造形式を提案。建築家が構造設計者と協力することで、より自由で豊かな建物の形状が可能となりました。

 
【各階の構成】
屋上|塔屋(階段室)
3階|オーナー邸/住宅1
2階|オーナー邸/住宅2
1階|テナント
地下1階|多目的室     


W350 WEBgenkan8308d_trm025.jpg●都会的で洗練されたデザインの玄関

こちらの玄関は地下の多目的室へ降りる階段に繋がっています。

ホール右側の壁にあるガラスの框戸から、住宅用玄関に行くことができます。



●地下の多目的室

この大部屋はパーティションで4つの小部屋に間仕切れるようになっており、その際、それぞれの小部屋の天井は間接照明が照らすように配置されています。



W350WEBroom8327d_trm022_s8.jpg●オーナー邸/住宅2

2階の住居も、上質でモダンな設計です。







●LDK空間
3階のLDKは道路の人通りからの視線や騒めきが全く気になりません。建て主様のご希望の、天井が高くて広い、大きな窓のあるLDKが実現しています。南東の角地のため、写真からも分かるように、大きな横長の窓からは、終日明るい陽射しが差し込んでいます。また窓下はカウンター収納になっていて、大容量です。



●ダイニング・キッチン
対面式のキッチンに立てばリビング・ダイニングが一望できます!
背面の壁には腰高の収納カウンタ―があり、その上には窓が配置されて、明るく使い勝手の良いキッチンです。外のサービスバルコニーに出るドアも使い勝手が良いですね。

この空間では白いいなづま型の階段が、とても印象的なデザインとなって目を引きます。
屋上へと上がるこの階段では、塔屋上部の窓からの光が、吹抜けを通して壁面とLDKを明るく照らします。
W350WEBkitchen8320f_ntr_u_clr.jpg W350WEBstairs8322d_ntr017H439.jpg



W350WEBliving8316d_trm013.jpg●LDKの一角の洋室とロフト

洋室は引込戸を仕舞って開放すると、
広くLDKに繋がります。

面白いのは、上にガラス張りのロフトがあることですね。

ロフトの床には構造上の支え方に工夫があるそうです。
(確かに柱が見当たりません)

考え抜かれたディテールの綺麗な白い折れ戸により、
ロフト部分は閉めて目隠しが出来るようになっています。

建築家のデザインへのこだわりが
随所に感じられる空間です。




《建築家から》
敷地は都会の一等地に近い場所です。いかに土地の価値を生かしていくかが、重要なテーマとなりました。
ご自宅に加えて、他の機能を建築に組み込むことは、当初からの想定でしたが、その組み込む用途が、時間の経過とともに、賃貸住居、テナント、二世帯住宅など、様々に変わっていきました。結局、設計に4年、施工に1年の合計5年という長い長い時を経ての完成となりました。お子さんも生まれ、ご自宅の構成もいろいろと変わっていきました。

当初から、容積率を目一杯使いたいとのご要望でしたが、法規の規制も厳しく、容積率いっぱいの床面積の建物をつくるのは難しい状況でした。様々な可能性を考えましたが、結局、壁がそのまま屋根へとつながるような構造形式によって、容積をすべて使い切ることができました。

また、エアコンの風は苦手とのことでしたので、天井全面を冷やす冷房システムを利用することにしました。ちょうど床暖房をひっくり返したようなイメージの方式です。その結果、夏場は、洞窟に入ったような静かで快適な環境を実現できました。

膨大な時間のかかったプロジェクトでしたが、完成した今となっては、その経緯自体がなつかしい思い出となっています。

詳細情報

●所在地:東京都 ●敷地面積:133.17m2(40.29坪) ●建築面積:90.78m2(27.47坪) ●延床面積:332.84m2(100.71坪) ●鉄筋コンクリート造 地下1階、地上3階建て ●竣工年月:2018年2月 ●設計:建築家 西島正樹(プライム 一級建築士事務所/写真提供) ●施工:横沢建設株式会社 ●住まいづくりコンサルタント:村松葉子(文)

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