住まい手自身が創り続けられる家
■1階 書斎(仕事場)
1階は玄関土間を大きめに取った、オフィスです。 オフィススペースと廊下とは天井までの本棚で仕切られています。
「子どもが小学校に入る前までに」というスケジュールを立て、土地探しから戸建て住宅をご計画。建築のお仕事のご主人とプロダクトデザイナーの奥さまの家づくりです!
こだわり満載の建て主様ご夫妻のご要望に応えてくれる依頼先として、工務店をご紹介しました。
1階は玄関土間を大きめに取った、オフィスです。 オフィススペースと廊下とは天井までの本棚で仕切られています。
エントランスから室内までワイヤー手摺(ARAKAWA GRIP)とし、軽やかで精緻な印象をもたせています。
ダイニングキッチン側。階段を登ると南面に家の顔となる大きな出窓。部屋の奥まで日差しを取り込みます。
大きな出窓。気持ちよさそうですね。
リビング側。LDKと小上がりの寝室は引き戸で仕切ることができ、日中はリビングの一画として使えます。
アイランドキッチンの上には、屋根の勾配を生かしたロフトを設け、デザイナーである建て主様自ら加工を行なった手すり壁を取り付けました。軽やかな抜け感が演出されていますね!
階段スペースの上部に位置するキャンチのソファや、和室のカーテン、畳表を裏返して使うための畳べりは、建て主様によるデザインです。
細部にわたり、住まい手自身が永くメンテナンスしながら使うことができるよう、工夫が施されています。
【 OZONEへの相談 】
建築家とプロダクトデザイナーの夫婦による都内の戸建て住宅。
夫は建築の仕事に従事していますが、住宅の設計は初めてなので、設計の相談が出来る工務店を探すのにリビングデザインセンターOZONEに相談させていただきました。出来る限り自分たちで家づくりを楽しみたい思いを汲んでもらい紹介を受けたのが、ますいいリビングカンパニーでした。いわゆるハウスメーカーが作る既製品を組み合わせた住宅ではなく、設計の骨子から、光や風の取り入れ方、室内環境の快適性をはじめ、出来る限り空間のエレメントとなる素材は一つひとつ吟味して選定したい思いを相談させてもらいながら進めることが出来ました。
【 空間について 】
南側の道路より高い位置にある敷地を活かし、南面に大きく開口をとって広がりの感じられる家にしたいと考えました。
サイズや形状に制約のある既製品サッシの組み合わせを工夫するとともに、出窓や庇をつけることで、家の中の各所で雰囲気の異なる窓辺や窓からの光、眺めを感じられる空間としました。
南北に細長い敷地を活かして、家の中も間仕切りは極力設けずに、どの空間においても南面に大きくとった窓からの光を感じられるようにして広がりや抜けを意識しました。
1階の仕事場や土間は、造り付けの棚で緩やかに区切られた空間とし、
対照的に2階は吹き抜けで大きく広がりを持った空間の中にキッチンやダイニング、リビングや寝室までを、要素を重ねながらそれぞれのシチュエーションでゆとりをもって使用できるように意識し、おおらかな場所としました。
【 快適性の追求 】
ひとつながりの家の中を快適に過ごせるように、断熱には気をつかい、冬は南面の開口からの日射取り入れと床下エアコンによる床面全体からの暖房として快適さを実現しています。
【 仕上げ・インテリア 】
外装も内装も長期間共に過ごす場所として出来る限り自分たちの手でメンテナンスが可能なものをセレクト。手作業で作られた跡が感じられる鋼板平葺きの外壁、コンクリート打ち放しの擁壁、漆喰左官の室内壁、ワイヤーによる軽やかな手摺、木目を現しにした柱梁やい草の畳、作り付けの棚や階段の上に張り出させたソファ。その中で刻々と変化する陽の光の色と響きあうニュアンスのあるグレーをベースカラーとし、木材や漆喰とのコントラストを持たせ、締まりのある印象を持たせながらも優しさも感じられるインテリアを目指しました。ロフト部分はグレーが重くなりすぎないように木材にCNC加工を加え独自の開口パターンを設けています。ソファのキルティングパターンも同じもので独自制作し、キッチンや洗面・トイレのタイルはTajimi Custom Tileから色とボリュームに配慮しセレクトし、空間にアクセントとして控えめに艶や光沢を持たせました。
【 工務店について 】
ますいいリビングカンパニーは施主自らが施工に参加することにとても寛容で、漆喰の左官から、タイル貼り、塗装、家具製作等、家中のいたる所で施工に関わらせていただきました。結果的に、均質ではない、味わいの感じられる仕上げになったと感じています。また、作ることの大変さを実感するとともに、家の仕組みの理解が進み、ちょっとした手直しや補修を自分たちでもできる自信が持てたりしたことも良い経験だったと実感しています。
斜線制限や擁壁 間口に対しての奥行など難しい敷地でしたが、それを生かしたプランニングや開口の取り方ができたと思います。
南側からの採光を手掛かりに空間をゆるやかにつなぎ、家具を作り付けにすることによって、広がりを感じる家になりました。
お二人のこだわるポイントや、視点の違いなどが印象的で、プランニングの段階からディティールまで共同でまとめ上げていくのは刺激をもらえ、楽しい時間でした。
ご自身で植えられた植栽がお伺いする毎に成長していて、手を加えていくのを楽しんでもらえるような家になったかなと思います。
外観や仕上げなど らしさ が出ている家です。