都内の住宅街にあるRC造3階建て・築35年の二世帯住宅に暮らしているH様。
2・3階はご家族の住居として使用しながら、
①空き家となっていた1階は年齢を重ねても暮らしやすい住まい
②長年の夢だった絵本の部屋を作りたい
ということで、リノベーションのご相談にいらっしゃいました。
いざリノベーションを始めようと思っても、ざっくりとした家づくりの希望や要望はあるものの、何から始めたらよいのかがわかりにくいものです。
「どこから始めたら良いのか」と悩まれていたH様は、OZONE家designのサポートメニュー『リフォームコンサルティング スタートコース』をご利用いただき、"現在の暮らし方"と"新しい暮らしへの要望"を整理するために「ライフスタイルシート」を作成しました。
「ライフスタイルシート」で整理した内容をもとに、H様の思いを一緒に叶えてくれそうな建築家の絞り込みを行います。
建て主の「この建築家と会ってみたい」と言う思いはもちろんですが、OZONEのコンサルタントは、それぞれの家づくりにおいて、「この建築家は似たような実績がある」、「建て主の家づくりにかける思いを理解・共感してくれるはず」など、今までの家づくり時のやりとりや考え方なども考慮し、建て主に建築家を推薦します。
依頼先候補となっている建築家の設計提案プランと、建築家の思いを伺いながら、H様の要望を叶えることができる最適な依頼先はどこなのか、コンサルタントがアドバイスを行いながら、時間をかけて依頼先(設計提案プラン)を検討しました。
最終的にリノベーションを依頼した建築家は「赤桐雅子さん、西田雄一さん」夫婦の建築家です。
お二人からの提案は、最初に提出された設計プラン案から"ご自身の住まい"と"絵本の場"、どちらも叶えたいというH様の要望が詰まった、これからの暮らしを楽しむための提案だったことが決め手となったそうです。
では、どのようなお宅に完成したのか見ていきましょう。
これまでに集めた沢山の絵本に囲まれた空間が出来上がりました。
本棚で外からの視線を緩く遮りながらも、明るい日差しが柔らかく差し込みます。
絵本は季節やイベントごとに入れ替え、そのたびに絵本の部屋は違う表情を見せてくれるため、飽きることはありません。
本棚とキッチンの素材を揃えることで、「絵本の場」と「生活の場」の空間が自然とマッチしています。
多目的使用ができるように、十分なスペースを確保しました。
そのため、近所の子供たちへの読み聞かせや大人たちの趣味の演奏会の場として、活躍しています。
キッチンの奥へと続く動線の先は、プライベートエリアとなります。
水回りや寝室などの動線をシンプルに使いやすくまとめ、演奏会の時には出演者の楽屋としても使用できるよう、使いやすくしました。
外からの視線を緩く遮るように本棚の高さを考えられているため、落ち着いて読書に集中することができます。
新築時の既存建築にあったデザイン柱は残し、リノベーション前の住まいの思い出も引き継ぎました。
子ども達が楽しめるよう、「大樹へのアプローチ」がつくられました。コンクリートのテラスには「ビー玉たんぽぽ」が埋め込まれ光っています。また、子どもたちがワクワクする「虫のガスメーター」もこちらを見つめています。
アプローチには新築時に植えた庭木が大きく育ち、緑陰を作っています。
設計中、Hさんが保管してきた絵本を段ボール箱から出して床一面に並べたとき、黒いフローリングを背景にそれぞれの表紙が浮かび上がり、絵本の放つエネルギーにしばらく皆で見入ったのは印象的な1コマでした。
クールで端正な印象だった既存建築にあたたかな空間を差し入れ、暗かった1階を明るい集いの間に一新して調和させることを心がけました。既存建築との取り合いを含めた細かい設計内容に、現場監督、職人さんが丁寧に取り組み、Hさんの絵本の部屋が竣工しました。