メンテナンス方法
大切な家具を楽しくメンテナンスをおこないながら、
長く愛着をもってご使用いただくための基本的な仕上げの種類とメンテナンス方法をご案内します。
オイルフィニッシュ
オイルフィニッシュとは
亜麻仁油などの乾性オイルを木の表面に染み込ませる仕上げ方法です。表面には塗膜は作られませんので手触りは温かみがあり、木目の引き立った風合いのよい仕上がりが得られます。
軽く水を弾くようになりますが耐水性はなく、水がついたままにされると輪染みができることがありますので、ご注意ください。
お手入れについて
柔らかい布で乾拭きをするか、汚れがついている場合は固く絞った布でやさしく拭き取ってください。水拭きをすることが多いテーブルやソープを使って汚れ落としをした場合などは、表面のオイルが落ちて枯れたようになりますが、改めてオイルフィニッシュを施すことで美しい仕上がりが蘇ります。
オイルフィニッシュの方法は、まず木部表面の汚れを落とします。必要であれば細かいサンドペーパーで木目に沿って傷や汚れを削り落としてください。
きれいになった仕上げ面にたっぷりのオイルをむらなく塗り広げ、15分ほどして表面のオイルが落ち着いてきたら柔らかい布で余分なオイルを拭き取ります。
さらに、布を替えながら何度か乾拭きを繰り返して完了です。
しばらくして木の導管に入り込んでいたオイルが表面に戻ってきてしまうことがありますので、数日経って落ち着くまでは時々、乾拭きしてください。
ソープフィニッシュ
ソープフィニッシュとは
北欧の家庭のなかで一般的に家具や床の洗浄をするのに石鹸を使っていたことから、自然と行われるようになった仕上げ方法で、現在でも広く使われています。
ソープフィニッシュには動物性脂肪や植物性脂肪を原料とした純石鹸を使います。石鹸液を木に塗ることで、石鹸に含まれる脂肪分が木の導管に残り、汚れが付着しにくくなります。
木の表面にまったく塗膜をつくらないため、木がもつ本来の質感や感触が楽しめますが、キズや汚れはついてきますので定期的なメンテナンスが必要です。
お手入れについて
きれいな乾いた布で木目にそって乾拭きをします。化学雑巾は変色の恐れがありますので避けてください。軽い汚れの除去は、固く絞ったきれいな布でシミを拭き取るか、#240〜#400くらいのサンドペーパーで木目に沿って研磨します。軽いキズも同じく研磨によって取ることができます。
長年使われた家具へ研磨やソープフィニッシュを施すと、周辺の部分と色が違ってしまったり、色ムラができてしまうことがありますので、まずは目立ちにくい場所で試し、段階を踏んでメンテナンスをおこなってください。
ラッカー塗装
ラッカー塗装とは
塗料の吹付けや刷毛塗りによって木の表面に樹脂の塗膜を作る仕上げ方法です。樹種によらず表面の艶、色を自在に調整できます。木の表面は塗膜で覆われてしまうため、木肌の質感・手触りは変わります。
一方、マホガニーなどの一部の材料はクリアのラッカー塗装によって、他の仕上げでは得られない美しい木目の輝きを得ることができます。
汚れと湿気に強く、特にテーブルやキャビネット類の仕上げに向いています。
お手入れについて
埃を払うか乾拭きで十分ですが、落ちにくい汚れについては水拭きもできます。ラッカー塗装面はゴム素材との長期間の接触で変色することがありますのでご注意ください。
ペーパーコード張り
ペーパーコード張りとは
丈夫な紙ひもで座面を編み込む方法で、1940年代頃から椅子に使われています。使われる紙ひもは布地よりも摩擦に強く、張替えも容易なことから、椅子の座面に向いている材料だと言われます。
紙ひもは強く張られていますが、使ううちに馴染み、座り心地は良くなっていきます。木部と同様に経年変化による美しい自然な古色を得られることも魅力のひとつです。
お手入れについて
掃除機でペーパーコードの間の埃を取り除きます。濡らしてしまった場合は無理にこすらず、叩くように水分を拭き取ったうえで、陰干しをして完全に乾かしてください。濡れたままで使用するとペーパーコードがたわみ、寿命が短くなる可能性があります。
ペーパーコードの張替えは使用状況により異なりますが、一般的に5~10年で張り替えられるケースが多いようです。
椅子・ソファの張地(布地・革)
椅子・ソファの張地とは
殆どの椅子の座面やソファの張地には、様々な種類の革や布地が使われています。張地は直接、体が触れるもので、座り心地とデザイン性に大きく関係しますので大切にしたいところです。椅子の張地に使われる革や布地は摩擦に強く丈夫なものが選ばれますので、適切にお手入れをすることで美しく快適な状態を保つことができます。
特に革は経年変化によって美しい色と艶、手触りが加わり、世界でたった一つのものへと仕上がっていきます。
お手入れについて
布地のお手入れは、はたきや掃除機で埃をとり、汚れがついてしまった場合はごく薄い中性洗剤を湿らせた布を固く絞り、軽く叩くようにして汚れを取り除きます。無理にこすらないようにしてください。ウール生地は織り目に沿ってブラシをかけることで埃を落とすと同時に表面を起毛させ、上品な表情が保たれます。
革のお手入れは、まず柔らかい乾いた布で軽く拭き、汚れた場合は柔らかい布をぬるま湯で溶かした自然石鹸液に浸し、固く絞ってから汚れを拭き取ります。濡れ拭きは目立たない場所で色落ちしないか確認し、強くこすらないようにしてください。
またシミなどを防ぐために、汚れた部分だけでなく周囲もまんべんなく拭くようにしてください。
より長くご使用いただくために、保湿用のクリームを塗るなど革の種類に応じたお手入れをします。