2020年3月12日から住宅事例を紹介するパネル展 「建築家と工務店の底力」展 -新築・建て替え編- がはじまりました。どれも素敵なお宅でぜひ多くの方に観に来ていただきたいと思っておりますが、昨今のコロナウイルス感染予防のため、外出を控えていらっしゃる方も多いと思います。また、3月20日には私コンサルタントがそれぞれの底力を語るセミナーを開催する予定でしたが、中止とさせていただいております。
そこで、各建築家へ私がインタビューした内容を、順次、こちらに掲載させていただきます。ぜひこちらのページから「底力」を感じていただき、開催中にお越しいただく機会ができましたら、実際のパネル展を観ていただきたいと思っております。(→追記:2020.6.30展示は終了しました)
【建築家 二宮博・菱谷和子氏】
このお宅は、建替えのご計画です。建替えならではの思いもあったと思いますのでお話しをうかがいました。
コンサルタント(以下:CO): 建て替えをするにあたり、建て主の方からのご要望はどのようなものでしたか?
二宮:17年住んできた古家には、都心の住宅地にありながら、大きな中庭がありました。性能上の問題から建替えのご相談をいただきました。
CO: 中庭のある暮らしとは、とてもよい環境にいられたのですね。そんな建替え計画を聞いて、どんなことを考えましたか?
二宮:日々、食事や子供との遊び場として活用されている中庭をよりよいかたちで再生できたらと思いました。
さらに、それが、日当たりや収納、子育てと仕事の両立、自由な間取り、といった機能面の要望をも満足させるような仕掛けになればと思いました。
CO: なるほど。それが、パレットと空庭というアイデアにつながるのですね。とても大胆なアイデアはどのように生まれたのでしょうか?
二宮:元々あった中庭は、いつも空に開かれたものでした。その一方で、30坪ほどの小さな敷地では、間取りを制約する要因にもなっていました。そこで、中庭を空中に持ち上げて空庭とすることで間取りの自由度を確保しました。 また、パレットは大きな床下収納の仕掛けとして思いつきました。
よいアイデアは、住まい手の固有の生活像を綿密にリサーチする中から見つけることができます。
CO: 建て主の方の反応はいかがですか?
二宮:一見して、斬新で面白い空間構成が、実は、要望に極めて忠実で、機能的であることを評価して頂きました。お住まいになられてからも、この空間は想像以上に楽しく子育てや仕事に活用しているというお話をいただきます。
CO:最後に建築家の底力とは?
二宮:私たちは、流行のカタログや既成概念に囚われず、建て主それぞれの現実的な要望に専心して提案をまとめるようにしています。建築申請の際には、前例のない空間で法規や条例にあてはまらず許可がおりるまでに苦労することもありますが、住まい手との対話から生まれたオリジナルなものだけが、魅力的な普遍のデザインに発展していくのだと思います。そうした提案ができることが建築家の力だと思います。
CO:ありがとうございました。
(【建築家 二宮博・菱谷和子氏】2020.3.22)
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