「食卓」や「台所」が印象的だった住宅事例を、建築家自身が紹介します。第10回は建築家 向山 博さん。住まいの一角で料理教室ができるお宅です。
「食卓」や「台所」が印象的だった住宅事例を、建築家自身が紹介します。第10回は建築家 向山 博さん。住まいの一角で料理教室ができるお宅です。
料理教室、惣菜店を営むことができる厨房とその料理を楽しむ「客間」をもつ戸建て住宅です。
建主は、自然な食材にこだわり、カラダに優しい料理を来客にお出ししたいと考えておりました。
住まいの中に料理をふるまう「客間」をどのように配置し、設えるかを模索する計画でした。
道路からのアプローチの正面に「客間」を配置しました。前面の通りから見ると、「客間」の格子戸越しに庭の緑が見え隠れします。
間取りでは、「客間」は住居と料理教室の厨房の間にあり、どちらからでも行き来することができます。
「客間」はプライベートでも客を招き、もてなすための場であり、また料理教室の実食の場であり、家族の特別な機会の食事の場にもなります。
客間の堀座卓は畳の下にしまうこともできるため、畳部屋でのヨガ教室も将来的に考えているそうです。
様々な機会に使える、多目的な客間がこの住まいの「顔」なのです。
「客間」の前の庭は建主が自らスケッチを描いた庭。コンパクトですが多くのスペースから愛でることができます。「客間」から庭は雪見障子を通して見ることで、周りの都会の喧騒から切り取られ美しい食事の背景を彩ります。
庭に面した厨房の窓際にはカウンターが設けられ、作った料理を数人で気軽に実食するのに良いスペースです。
本来、用途の区画として分割されるべき厨房と客間は窓でつながり、ふるまう側とふるまわれる側がお互いの様子をみることができるように工夫しています。
客間の設計の打ち合わせでは、お酒のストック、製氷機、燗酒を出せる仕掛けなど、建主の来客のもてなすアイデアがあふれる話題が続きました。
2階には家族のプライベートなダイニングキッチンがあります。
都会の喧騒に囲まれた立地ですが、吹き抜けを介して3階から自然光が十分入ります。
ダイニングに面した2階のバルコニーは3階、屋上へと外の階段でつながり、食事をしながら、楽しむ場を転々と移動できるのもこの住まいの魅力の一つです。
最後に、終の住まいとして計画した建主には、長くこの住まいを楽しんで頂きたい。
そのため、将来体力的、身体的に自由が効かなくなっても、上下階の移動を楽にするホームエレベーターを設置できるように初めから計画しています。
場所も1階の厨房、2階の厨房、3階の寝室とをつなげられる位置に想定してあります。
長く生きがいである 「料理」と「食」 を身近に生活を続けられるような住まいになっています。
人それぞれ住まいへの「想い」は違います。 建主との対話の中からその「想い」が実現する理想のライフスタイルを発見し、それを形にしていくことが建築家としての仕事だと考えています。 自分の設計の特徴は平面計画(間取り)にあると思います。 限られたスペースを工夫して使い勝手のよい、心地良い空間を実現します。
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(2021.12記。photo@TOREAL Inc.藤井 浩司、photo@家庭料理まるみ(料理と人物入り写真))
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