「食卓」や「台所」が印象的だった住宅事例を、建築家自身が紹介します。第5回は建築家 小久保美香さん。2つの食卓がある小さなおうちのお話です。
「食卓」や「台所」が印象的だった住宅事例を、建築家自身が紹介します。第5回は建築家 小久保美香さん。2つの食卓がある小さなおうちのお話です。
とってもうれしいことに、
先日、ちっちゃいおうちを訪れる機会がありました。
10年以上経ったおうちにはいったとたん
なつかしいなぁという気持ちがわきあがりました。
ただいま!といいたくなるかんじです。
ご用意してくださった
手づくりのおいしいごはんをいただき、
しあわせな時間をすごさせていただきました。
(ありがとうございます!)
このおうちには2つの食卓があります。
1つは、キッチンカウンターを通してつながる椅子座のダイニングテーブル。(写真だと照明の下)
もう1つは、そこから2段下がったところにある木工作家さんにつくっていただいた床座のローテーブルです。(今回はこちらでお食事をいただきました)
この2つの食卓のある空間は、一つ屋根の下、一つの空間でつながっていて、ステップフロアでゆるく区切られています。
お食事は毎日のことなので、
晴れの日も雨の日もあるように、
お忙しい時もこだわりたいときも、
体調の悪い日も
がんばれないときも頑張りたいときもあると思います。
お忙しい時は、キッチンとの距離の近いダイニングテーブルで
ゆっくりしたい時は、ローテーブルで
たくさんの方が集まった時は、ステップフロアの階段も椅子にして、両方のテーブルですごすごとができます。
家作りをはじめられるときにいただいた要望は
① けっして広くないこの場所にちっちゃくても豊かな空間をつくってほしい。
② 顔のみえる家づくりをしたい。
③ 共働きのため、家事導線を工夫してほしい。
というものでした
久しぶりに訪れてかんじたことは、
お施主さんらしい暮らし方を通して、私が想像していた以上に豊な空間に、育ててくださっているということでした。
また豊かな空間を支えるためにも家事導線は大切だなぁと思います。
キッチンから洗濯コーナー干場につながる導線。
お鍋を置いても使える広めのシンク。手の届きやすい場所に頻度の高いものを置ける収納。
広めのパントリーに見せたくないものを隠せるカウンター。
どんな暮らし方をしたいか、会話をかさね住まい手さんが暮らしやすい導線をみつけていくことが必要だと思います。こちらのお宅では、キッチンの左隣にパントリー、冷蔵庫の手前の通路から洗濯機が使え、R壁の奥が洗濯物干場です。
最後にお施主さんがおっしゃってくださった言葉があります。
この食卓に座ってぼーっとしながら梁をみあげると
職人さんたちが心をこめてつくってくださったんだなぁと
あたたかい気持ちになれると。
製材所や、瓦の工房、タイルの工房を訪れ、どんな方がどんな思いでつくってくださっているのかを感じながら家づくりをしました。
このローテブルも、木工作家さんの工房を訪れ、板の状態から会話を繰り返し空間にあうものをつくっていただいたものです。
その思いにつくりてさんも答えてくださりあたたかい空間になりました。
食卓はお食事をいただく場所でもあるけれど、
おかえりなさいとどんな時でも迎えてくれて、明日の元気をつくってくれる場所だと思います。
これから先も、住まい手さんらしい暮らしを支えてくれますように。
住まいは日々の暮らしを営む場所です。食事をしたり、休んだり、おしゃべりしたり、そんな毎日の暮らしが住まい手らしく、笑顔ですごせるような居心地のよい住まいをつくっていきたいと思います。 また、住まいは、日々のうれしい気持ち、悲しい気持ち、いろいろな思いを受け入れてくれる場所であってほしいと思っています。いつでもおかえりなさいと受け入れてくれるそんな場所をつくりたいと思っています。
プロフィールはこちら >
(2021.12記。写真は建築家提供)
キッチンまわりの「使い勝手が良くない!」「収納が足りない!!」などのお悩みや困りごとを5組の建築家に相談して、快適なキッチンまわりを手に入れてみませんか。
また、建築家のアイデアを生かして設計したキッチンまわりの事例解説も同時開催します。
※キッチンまわりのリフォーム、リノベーション、新築、建て替えを検討されている方向け。
開催日:2024年7月14日(日) 13:30~16:00
※事例解説ミニセミナーは14:00~15:30となります。
詳細はこちら
関連記事
OZONEメールマガジン(無料)のご案内
住宅事例や家づくりに役立つ情報、リビングデザインセンターOZONEで開催するイベントやセミナー情報などをメールマガジンでお届けします。