「食卓」や「台所」が印象的だった住宅事例を、建築家自身が紹介します。第8回は建築家 赤沼 修さん。大らかな二世帯住宅の食の風景です。
「食卓」や「台所」が印象的だった住宅事例を、建築家自身が紹介します。第8回は建築家 赤沼 修さん。大らかな二世帯住宅の食の風景です。
"「昔からある大きな樫の木」(写真)は区の保存樹だし程よい距離をとって眺められるといいですね。
私がもともと住みたいと思っていたのは無垢の木をふんだんに使った家なの。
親世帯はできるだけ現在の住まい方を変えないようにしてあげたい。"
そんな話をしながら住み手との建築計画がスタートしました。
1階は親世帯、2階は子世帯、それぞれ玄関も別々で独立した空間ですが、普段はホールで繋がる内部引き戸を使って行き来しながらの生活です。
1階の玄関は6帖強ある大谷石の通り土間で、板塀で囲われた庭へと繋がります。
広めの通り土間は玄関や庭への出入りもしやすい。楕円形の炭焼きコンロでガーデンランチも楽しむ。
通り土間は、冬には薪ストーブで暖かいストーブ料理を作り、時には友人との会食の場所になります。 季節が良ければ椅子とテーブル、炭焼きコンロを外へ持ちだしてガーデンランチも楽しみます。
将来、小さなお店をやるかもしれない、介護が必要になった時も車椅子が置けて移動も楽だといいねと、 玄関を少し広くとり、通り土間にしたことでいろいろな使い方が生まれました。
"私は足腰のことを思うと椅子がいいし、主人は食事のあとゴロっとなりたいので床座がいいのかな?" そんな会話から、2階のダイニングはリビングも兼ねて食事以外の時にもくつろげるようにテーブルと椅子は少し低めにしています。窓側の造作ベンチは横になって休めるように広く長めにして、一段上がったテラスと高さを合わせて出入りしやすく、外との繋がりも自然に感じられるようにしました。
1、2階共ほぼ同じ平面プランですが天井の形態と外の眺めの違いなどから、1階は少し囲われた落ち着き のある居場所、2階は伸びやかな広がりのある居場所と、それぞれ違った印象を受けます。
2階テラスからは樫の木をひときわ身近に望むことが出来ます。夏の西日を大きな木が遮り、家族や友人たちとビールを飲んで夕涼みが心地よい場所です。
住み手との会話から発想が膨らみ、いろいろな居場所がつくられて、住み手の工夫で食や暮らしの幅が広がってゆく楽しい住まいです。今日もいろいろな居場所で食や暮らしを楽しまれていることでしょう。
事務所を開設して20年になりました。 事務所はごく普通の住宅街にあり、独立以来職住一体で、子供達の成長や母の介護など様々な世代の生活変化を身近で感じられた事は、住宅設計者の私にとってあらゆる意味で良い環境だったと思います。 一つ一つ住む人の目線に立って思考し、時を経ても愛される家を誠実につくりたいと考え、日々仕事に取り組んでいます。
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(2021.12記。写真は建築家提供)
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