「食卓」や「台所」が印象的だった住宅事例を、建築家自身が紹介します。第9回は建築家 田中幸子さん、齋藤要さん。好きなデザインに囲まれた温かな雰囲気のお宅です。
「食卓」や「台所」が印象的だった住宅事例を、建築家自身が紹介します。第9回は建築家 田中幸子さん、齋藤要さん。好きなデザインに囲まれた温かな雰囲気のお宅です。
小さなお子さんがいる共働きのKさん一家。生まれ育った実家をリノベーションしました。
Kさんのイメージが一番詰まっている「レトロな雰囲気のキッチン」。床は70年代のリプロダクション柄のクッションフロア。ぜひこれで!と写真を見せていただきました。それなら、壁はランタン柄のモザイクタイルでどうでしょう!と形は即決。色選びはショールームからサンプルを持ち帰りじっくり吟味して決められました。
ニュアンスのある施釉タイルは、存在感があって柄物の床との相性もよく、ベージュの目地で優しい落ち着きのある仕上がりになりました。
キッチンカウンター、オープン棚、ツール掛けパイプは、全てステンレスで統一。掃除もしやすく、組み換えもでき機能的です。カウンター下は全てオープンにし、手持ちの家具やゴミ箱を上手くセットされています。
そして、キッチンの隣は「ブックカフェのようなワークスペース」。読書や書きもの好きの様子がうかがえる楽しいデスクまわりになりました。机の天板は施主支給、本棚はDIYで取り付けています。期せずして訪れたコロナ禍。いまは在宅ワークで大活躍するスペースになっているそうです。
キッチンカウンターとデスクのある場所は、高さ制限よって屋根が下がり、室内の端では1.8mほどの高さしかありません。そのためキッチンやデスクの奥行きを深くしてレンジフードなどが適正な高さになるように調整。それによって、カウンターやデスクの奥に物を置くゆとりが生まれ、キッチンもワークスペースも、ツールがしっかり置ける作業スペースになりました。天井付近にもオープン棚を設置。琺瑯の調理器具やアラジンのポットが置かれ、レトロな雰囲気でまとめられています。
お気に入りがぎゅっと詰まった台所とワークスペース、忙しい毎日が楽しくなるような居場所になりました。
食卓は、もともとフラットだった天井の一部を抜き、光と風が感じられる空間にしています。コンパクトなダイニング・キッチンも空間の抜けをつくることで面積以上の広がりが感じられるようになりました。照明や植物などをハンギングできるよう既存の天井下地を残しています。
ダイニングテーブルは、カフェが広場に面するように、家の中央にあるホールに面しています。
このホールは、家じゅうのスペースをつなぐ「広場」とも言える場所。
「広場」を通して、食卓や台所の楽しい風景が、家全体に伝わります。
どのご家族も個性的な条件や住まい方を持っていらっしゃいます。何をふくらませるとご家族にしっくり寄り添う住まいになるか、皆さんで正直に向き合って探ることが住まいづくりの大切なプロセスです。そのナビゲーターとしてご協力できたらうれしく思います。住まいづくりをきっかけに、ぜひ生き生きとした暮らしを手に入れてください。
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(2021.12記。写真は建築家提供)
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