前回のコラムでは、最近のセカンドハウス事情をうかがう事が出来ましたので、今回は実際に建築家・萱沼 宏記さんが設計された建物をご紹介して頂きたいと思います。
セカンドハウスを計画する場所は豊かな自然に囲まれているので、その場所ならではの地形や風景を最大限活かせる空間作りを大切にしながら設計しています。
また、都会を離れ非日常を楽しめる様に、大きく開放出来る浴室を設けて豊かな自然と一体になる時間や、薪ストーブを設けて炎を眺めゆったり過ごす時間などを大切に考えています。
外観は住宅街にある建物とは違った、自然の中に馴染んでいくような色や素材であったり、経年変化も楽しんでもらえるような自然素材を選んだりしています。その上で、深い庇で建物を守るなど、メンテナンスも考慮したデザインを考えています。
敷地は岬の先端に位置し、北は富士山、西は駿河湾に沈むサンセットが望めるすばらしい眺望がきく場所でした。幾度となくこの地に通う中で、海や富士山といった遠景のすばらしさだけでなく、近くの森や敷地内にも魅力的な自然がある事に気がつきます。 それらの近景を生かすことで、より季節感を感じられるのではないかと考え、敷地内に自生していたオオシマザクラの大木を囲むように建物を配置させました。
建物が建つことで生まれた自然との新たな秩序が、より一層自然の美しさを際立たせてくれています。
この建物は富士山の麓、標高1200mの森の中にあります。 敷地には苔むした石垣や樹齢100年以上の赤松の大木、森を明るい印象にしてくれるシラカバの木などがあり、東京からたった1時間半で自然豊かな別世界に身を置く事が出来ます。 建物は屋根の雪を南側に落とす為に南側を低くして、高い北側の2階に寝室、ゲストルームを設けています。
薪ストーブで暖められた空気が、寝る頃には寝室を暖めてくれる事も期待しています。
これまで住宅と別荘の設計が半分づつ程度と、別荘を設計する機会が多くありました。そこでは、「くつろぎ」「やすらぎ」のデザインが求められ、私のデザインの特徴の1つになっています。 森の中の「高い湿度」や、「氷点下-15℃」にもなる外気温など、美しくも厳しい自然環境と対峙し、快適な住環境をどのように確保するかを試行錯誤してきた経験が、都内での設計にも生かされていると感じています。
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