2住戸の戸境壁の一部を抜いて、1住戸にする大掛かりな工事の "建築家に頼んで大成功"のリノベーション実例です。 登録建築家自身がご紹介します。
2住戸の戸境壁の一部を抜いて、1住戸にする大掛かりな工事の "建築家に頼んで大成功"のリノベーション実例です。 登録建築家自身がご紹介します。
これは建主所有の低層賃貸マンションのうち2つの住戸を、自らの居住用にフルリノベーションを行いました。2住戸の戸境壁を一部抜いて、1住戸にするという大胆な案。それが実行できたのは、当時の構造計算書や設計図が入手でき、耐震壁の壁量に余裕があることを確認できたからです。要となる開口補強方法は、構造家の助言を受けて実現に至りました。
この計画でまず考えたのは、勾配屋根を載せたマンションの最上階にあるため、屋根裏を利用するということです。
リビング・ダイニングは天井高が2.4mから3.4mに上がっていく傾斜天井にしました。気積(※1)が2割ほど増えるので、断熱材はしっかり入れています。元の屋根裏にはグラスウールが25ミリでしたが、天井を張り直す際に高性能グラスウール100ミリに変更。当時の約5.3倍の断熱性能です。
(※1)気積とは...床面積×高さのことで、部屋の空間を表すもの。
子供室も屋根裏を利用し、ロフト付きにしました。その他、トイレ+廊下部分の天井裏に天井高1.4mの収納スペースを設けています。RC造の空間の中に木軸で屋根裏の床を組み、衝撃音を減らすゴムを柱脚に敷いています。
フルリノベーションは、既存の箱を余すことなく使えるので、建主の想定以上の空間も生まれます。
元々、玄関の脇に洗面・浴室がありました。その構造壁で囲われている3帖分をシューズクロークにしました。持て余すかと思いましたが、釣り好きのご主人から、2つ窓があって風も通り格好の釣り具置場になるという言葉をもらいました。
玄関とシューズクロークを仕切る引戸は、耐衝撃性の優れるポリカーボ。玄関への採光も兼ねています。
「小上がりが欲しい」「息子が帰省した時の寝場所が欲しい」の要望には、小上がりを亜麻色に染色した畳を使い、隣合うフローリングと馴染むようにしました。また、元・洋室の出窓は、26㎝上がることによって低い窓となり、"座る"空間の正面でもあることから、床の間の違い棚をモチーフにした造作を施しました。リビングとの間を仕切る折れ戸には、織物壁紙を使い、閉めたとき和風を感じさせないようにしました。
既存の構造壁で予め区切られている影響で、玄関から居室に至る経路に、廊下には広く個室とするには狭い場所が生まれました。
建主から「陽だまりで読書するのもいい」というお話をもらい、天井までの本棚、廊下と領域を区切る意味でモザイクタイルの床にして「コージーコーナー」(お気に入り空間の意味)と呼ぶことになりました。
●家族構成:単世帯
●延べ床面積:95.2㎡
●構造:RC造(マンション)
●Photo:白崎 泰弘
一人は敷地の読み取りから始まり建築の立ち姿や内部の見え方を考えていきます。間取りがまとまってきたところで構造設計へと移行(木造3階建て・RC造は構造事務所が協力)。一人は、生活スタイルをヒアリングし家事動線を意識した間取りを計画していきます。構造設計中に内部の詳細を詰めていきます。こうして男女両方の目線で設計し、木造や鉄筋コンクリート造といった構造方式は、案件ごとに相応しいものを提案するのが私たちの特徴です。
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