暮らしの変化と楽しい間取りvol.5「緩やかにつながる家」建築家田所裕樹さん

2021年に完成した "今ならでは"の住宅実例を、登録建築家自身がご紹介します。

吹抜でつながる立体的なワンルーム

ご夫婦と子ども二人が暮らす木造2階建ての住まい。
当初、必要な間取りとして寝室、子ども部屋２室、仕事部屋のある４ＬＤＫを望まれていましたが、そのまま作ると土地の広さや予算の面からとても窮屈な空間になってしまうため、建物をコンパクトにしながらもご家族がのびのびと暮らせる家を模索しました。

ご家族はとても仲が良かったため、わざわざ個室に分かれて生活するのではなくみんなが集う空間が良いと感じ、１階のＬＤＫと２階のスタディ・ワークスペースが吹抜けでつながる立体的なワンルームを提案。
それぞれの空間で過ごしていても、お互いの気配を感じられ、また床面積以上の開放感のある気持ちのいい空間を作り出しました。

２階吹き抜けに面した渡り廊下とスタディ・ワークスペース。子ども部屋の勉強をする用途と、奥様の在宅で仕事をする用途を部屋として仕切るのではなく、リビングから高さ方向に距離を取り、それぞれが緩やかにつながる空間にしています。

寝室

寝室は４人で共有するために１２帖確保し、子どもが小さいうちはみんなで一緒に寝て、成長に合わせて家具で仕切りながら、空間を有効利用していく計画です。天井を高くすることで２段ベッドや家具で仕切っても窮屈にならないようにしています。

庭、インナーバルコニー

庭を作って、子どもが遊んだり家庭菜園をしたいという希望があったため、リビングの大きな窓に面して庭を配置しました。庭の先にある道路との境には植物を植えて目隠しをしつつ、リビングからの景色を豊かにしています。また、洗濯物を２階のインナーバルコニーに干すことで、１階の庭を菜園や景観として十分に楽しめるようにしています。
家で過ごす時間が多くても、日々変化し、いろいろな表情を楽しませてくれる自然とのつながりがあることで、豊かな生活が育まれていきます。