「食卓」や「台所」が印象的だった住宅事例を、建築家自身が紹介します。第6回は建築家 山田伸彦さん。2つの隣り合った住まいを紹介してくれます。
「食卓」や「台所」が印象的だった住宅事例を、建築家自身が紹介します。第6回は建築家 山田伸彦さん。2つの隣り合った住まいを紹介してくれます。
家族が集まって食事をするだけでなく、いろいろな人が集まって一緒に食事をするという行為でつながりを感じられる。そんな意図を込めて設計した住宅です。
古くからの知人で、旧宅にもお邪魔していました。その時にはちゃぶ台でホットプレートを囲んで焼肉や鍋をつつきながらお酒を飲んだりしていました。記憶にあるだけでもお正月などは30人近い人たちが出入りしつつ、ワイワイガヤガヤとそれぞれに寛ぎながら過ごしていたお宅でした。
この住宅の建て替えで親世帯+子世帯(次女世帯)と子世帯(長男世帯)という3世帯10人のための2つの住宅を同時にお隣同士に計画しました。どちらの住宅でも考えたのは、旧宅のおおらかに人を受け入れる許容力のある暮らしがあると良いなということでした。お客さんが多い時には、床座のスペースで人の多少に対応する。家族だけの時にはテーブルを囲んで。どちらも食や食卓などを囲みながら人の生活感を感じられるイメージで設計を進めました。
元々のお宅の台所を実測して、また不満に思っていた部分(台所の暗さや寒さ、お客さんから見え過ぎるなど)を解消しつつ、しかし両親にとっては歳を重ねてからの新築でしたのであまり旧宅からは大きく変えすぎないことを念頭に設計をしました。お父さんが釣った魚や鶏など調理を出来るように外台所も設えています。大人数のお客さんが来られることもあるので、厨房は現代的な設備(食洗機など)も提案させてもらっています。
もともとのイメージを大事にした床座(板間)は1段上がったところにあり、イメージを補完するように大黒柱を中心に住宅の中心にあります。障子を締めると緩やかに領域を分けることができます。
庭を通して二世帯が行ったり来たり。
庭に面しているのは、椅子テーブルのスペースでイメージは土間です。この土間は子供の遊び場や子供の宿題の場所、時には散髪のスペースにもなります。
右手にある数段のステップを上がると、当初からの要望だった床座の畳スペースがあります。対面でキッチンが設置され、キッチンからは畳リビング、椅子リビングのどちらのスペースにも行き来できます。そこからは家族の様子がよく見えます。
南北に建物をつなぐことで、風が通り、庭にも繋がり、そして街につながっていて、人が出入りしやすい気持ちの良い場所になっています。
家づくりに関して言えば、坪単価やスペックなど情報があまりにも多いので、専門家でもわからなくなっているようにも思います。そんな時には本質を考えるのが良いように思っています。 ある程度の時間をかけて一緒に住宅を考えていきたいと思っています。
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(2021.12記。写真は建築家提供)
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